大学時代に仲のよかったともだちに、学生なのに自動車ローンを組んでいた男がいました。彼はクルマ大好き人間で、系列の高校から大学に上がってきたため、受験勉強をせずに済み、その分の時間で教習所に通って運転免許を取っていました。とにかく自分の乗り回せるクルマが欲しくてたまらず、親に頼んで頭金だけは用意してもらい、残りはすべて自分がローンで支払う約束で、大学生がてらに新車を購入したのでした。
車高の低い、真っ黄色の彼のクルマは、とにかく目立っていました。運転して大学に来るときもあり、ぼくらはときどき乗せてもらっては、うらやましがっていました。しかし彼は、だんだん大学に姿をみせなくなりました。会社員でも払うのが大変な額のローンのせいで、朝から晩までバイトをしなければならなかったからです。ともだちの集まりにもすっかり姿をみせなくなり、なんとかローンを払い終えたときには、留年していました。卒業後クルマのディーラーになったものの長続きせず、いまはまったくクルマと縁遠い仕事に、電車で通勤しているそうです。
